治療例 CASES
胃拡張捻転症候群(GDV)
2023年3月1日(水)
今回は胃拡張捻転症候群(GDV)について紹介します。
突然ぐったりしたと来院されたわんちゃんの紹介です。
レントゲン検査にて胃拡張捻転症候群と診断しました。
診断するポイントとしては、
・捻転ライン
・逆C型
・ポパイアーム
があります。
胃拡張捻転症候群とはその言葉の通り、胃の拡張と捻転を起こすことにより重症化する病気です。
原因ははっきり分かりませんが、大型犬に多く、空腹時に発症が多いと言われています。
重症化する病態として
胃の捻転により胃のガスが出せず、さらに胃が拡張
→拡張した胃によりお腹の重要な血管が圧迫される
→体の血液の循環が悪くなり血圧が下がり多臓器に障害を起こす
ことが知られています。
症状としては突然ぐったりする、吐きそうだけと吐けない様子、お腹が張っているなどがあります。
治療として内科治療で治ることはなく、開腹手術にて胃を適切な位置に戻し、胃を腹壁に糸で固定する必要があります。
このわんちゃんは診断後即時に点滴を流し状態の改善を図り、即日開腹術を行い胃の整復と固定を行いました。また脾臓の色調が悪く梗塞を起こしていると判断し脾臓の摘出も同時に行いました。術中不整脈を認めましたが、無事手術が終わり翌日に元気になり退院しました。
また術後再発予防のため食事はふやかしたものを与え、少量頻回の食事にすることをお伝えしました。
胃拡張捻転症候群は危険な病気で適切な治療をしても亡くなってしまうわんちゃんもいます。一刻も争う状態で適切な診断と治療が必要です。思い当たる症状があればご相談ください。
獣医師 小野