治療例 CASES
猫の誤食(縫い針)
2023年5月19日(金)
今回は猫の誤食(縫い針)の紹介です。
1歳のオス猫の子が縫い針を食べたかもとのことで来院されました。
レントゲンにて確認すると胃の中に針がはっきりと写っていました。
※来院直後に撮影したレントゲン写真
体調は問題なく、本人はいたってケロっとしていましたがこのままにしておくと消化管を傷付けてしまう、または穿孔してしまう可能性があったため内視鏡下にて摘出を行いました。
通常、異物の誤食の場合は催吐処置が治療の一つとして挙げられますが今回のような先の尖ったものだと吐かせたときに食道を傷つけてしまう恐れがあるため内視鏡、もしくは胃切開が治療手段になります。(以下に治療のメリット、デメリットが記載されてます)
※実際の内視鏡下の様子
※除去した縫い針と糸
切除したあとは胃内にその他のものが残っていないか、除去する際に食道を傷付けていないか確認して終了になります。
大事に至らなくて良かったです。
通常、縫い針などの尖ったものは内視鏡でも切除の際に食道、口腔内を傷付けてしまう恐れがあるため胃切開を選択することが多いですが当院には、獣医内視鏡外科研究会認定制度受講獣医師が所属してますので摘出することが可能です。
猫ちゃんは、針を食べようとしたわけではなく、針が付いた糸で遊んでいて口に含んでしまったのだと思います。また、今回の例はとても珍しいわけではなく、年に数件来院されます。針や糸などは猫ちゃんが遊ばないよう普段から気を付けるようにしてください。
万が一食べてしまった場合は、ご相談いただければと思います。
【異物を食べたときの対処法】
- ①催吐処置
- メリット:
- 麻酔をかける必要がなく、物が出てしまえば治療終了
- デメリット:
- 吸収されてしまうような異物(タバコ、中毒性物質)の場合吐かせきれない。吐かせることで誤嚥してしまう
- ②内視鏡による除去
- メリット:
- 異物を視認できる。侵襲性が少ない。また胃洗浄を行うことができる
- デメリット:
- 全身麻酔が必要になる。取れるもの、取れないものがある
- ③胃切開
- メリット:
- 異物を確実に出すことができる。腹腔内を確実に触ることができる
- デメリット:
- 全身麻酔が必要になる。侵襲性があり、回復までに時間がかかる。
獣医師 藤原智宏